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朝ドラ女優は脱がされがち?『日本俠花伝』

日本映画専門チャンネルで、加藤泰監督『日本侠花伝』(1973.11 東宝)を観た。
1972年度の朝ドラ『藍より青く』(山田太一 原作脚本。当時の朝ドラは1年続いた)主演女優・真木洋子(真木よう子ではない)を主役にした、2時間半もある大作。途中で休憩が入る。
元は、浅丘ルリ子にアテて書かれたシナリオという。

大正時代。震災前の世情不安な時代を、関わった男たち(四国のインテリ坊ちゃん・村井国夫、神戸の組長・曽我廼家明蝶、そしてカッコいい刺客ヤクザの渡哲也)に翻弄されつつ生き抜く女一匹の話。
劇画的な構図の数々が決まっており、『修羅雪姫』シリーズ(1973.12 74.6)に繋がったか。
真木は正に「体当たりの熱演」というヤツで、濡れ場や警察で乳出しの拷問を受けるシーンは映画の売りだったろうが、官能よりも痛みだけ感じるね〜。
ウィキによれば、会社や監督に1か月がかりで口説き落とされた模様。その甲斐あって、映画の代表作となった。
でも、前半は刑務所で知り合う大久保佳代子似の任田順好(とうだじゅんこう)=沢淑子が目立ちすぎ、お気の毒。
なお、真木は2000年に51歳で亡くなっている。急性骨髄性白血病だった。

東宝映画なれど、東映・松竹・日活系の匂いも持った出演陣。
北大路欣也(海軍軍人)と加藤剛(牧師…実在のキリスト教系社会運動家・賀川豊彦)は真木の相手役ではなく、ワンシーンだけのゲスト格。
渡が冒頭で刺殺する代議士に富田仲次郎、釈放された任田と話す飯屋のオヤジに桑山正一、任田を監視する刑事の1人は広瀬正一。
汐路章は、長髪の講釈師みたいな扮装で登場。
マザコン気味な村井の母は大塚道子、番頭は藤原釜足。
真木が親子ほど年の差がある曾我廼家と結婚し、姐さんになる組のカシラは武藤章生。
敵対する組のボスが安部徹。毛むくじゃらな子分にレスラーのマンモス鈴木。
海軍の荷役入札には、野口元夫 向井淳一郎も出席。
貧民街の住人に大村千吉、アップもあって菅井きん に頭を叩かれてた。
米騒動で襲撃されるのは、見明凡太朗か。
真木を拷問する官憲は おいしい役だが、ジラースを育てたモンスター博士こと森幹太らしい。物凄い怪演、本作でイチバン印象に残る脇役。部下に菊池英一がいるぞ。
釈放されるもボロボロの彼女を介護した三国人は、谷村昌彦と園佳也子。
ラスト近く、列車で相席になる浪曲師?は小島三児。
外野村晋 伊達三郎 田中筆子の名もクレジットに。
奇声の和久井節緒は雨中の荷役シーンでセリフがあり分かるが、池田勝 今西正男といったベテラン声優は出番不明。

朝ドラ女優は、健気な役の後にハードな役をオファーされ、脱がされがちなもんなのか?
『ひよっこ』の有村架純も、撮影は前だったかもしれんが、10月公開の映画『ナラタージュ』で…。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

細田守は関係ない、『ラスト・サマーウォーズ』

ムービープラスで、ロシア製の戦争物『ラスト・サマーウォーズ』(2015 日本未公開 DVD発売のみ、本国ではHTBで2016年に放送されたテレビムービーらしい)を観た。
実際のタイトルはОрден(英題:The Medal)で、メダルとは勲章のこと。
第二次世界大戦末期、1945年8月。
ナチスドイツ降伏後に残った軍国主義の国は、日本だけだ!
ソ連による満州国攻略を描く、今まで ありそうでなかった作品。
「不可侵条約を破って、いきなり攻め込んできた」「逃げる日本人婦女子に、野蛮なロシア兵が暴行」といった負のイメージ(日本側から見た)しか聞いたことがないし、何と言っても敵として描かれるのは同胞。
ドキドキしつつ観たが、いわゆる国辱的な描写(ソ連侵攻前に、逃亡を画策した日本軍将校が、後ろから弓矢で粛清されるとかね)もあるとはいえ、あまり考えさせずに観られるスタイルの戦争映画になってました。

主演は、ロマン・ポリアンスキーという どっかで聞いたような名の男優だが、ちゃんとした日本人俳優が出ていたのは意外。
先述した将校役は、資料でオサマ・ヤマモトとなっている山本修(修夢)。
上流階級らしい将校の愛人は、中丸シオン。
特高役は、ロシアで活躍する俳優・監督の木下順介である。
ハタ(秦)関東軍参謀総長役は、セト・ゲン(瀬戸 ?世戸?)という俳優だが、梅宮辰夫みたいで威厳あり。
IMDbによると1955年 神奈川生まれで、90年代からドイツを中心に国際的に活躍(日本公開作には、イタリア映画『鑑定士と顔のない依頼人』がある)、短編映画の監督もしているという。へ〜。

アジビラを貼る中国人を殴りつけた日本兵が、「このチャンコロめ!」と罵るカットがありました。変なところに凝ってるな。
ラストシーン。攻略作戦を成功させた戦争英雄処遇の具申に、スターリンらしき人物が一言。ロシアじゃウケどころなのかな?

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

夏の風物詩、NHKの戦争特集『戦慄の記録 インパール』

NHKスペシャル『戦慄の記録 インパール』を観た。
新旧の映画『野火』も、日本映画専門チャンネルでオンエア中(こちらはフィリピン戦線が舞台)。良いタイミングですね。

1944年3月。起死回生すべく、イギリス軍に挑む敗色濃い日本陸軍。
物質・食料補給を大和魂でフォローせよと言わんばかりの無謀な高地突破作戦と、名誉のため後に引けなくなった牟田口中将と軍上層部。
多くの兵士を無駄死に させてしまう。
彼らの無責任ぶりも含めた今回のドキュメンタリーは、ひたすら重い。
飢餓による食人についても語られるが、人肉を物々交換・売ってた奴まで いたとはね。
マラリアに罹り前線に放置されたという、牟田口中将の副官(斎藤少尉)の記録。彼は生き延び、戦後 連合軍の捕虜となって生還。96歳で存命、ふりしぼるように語るのがエンディング。
「国家の指導者層の理念に疑いを抱く 望みなき戦を戦う 世にこれほどの悲惨事があろうか」

現地での戦闘に参加したという元英軍人 A・J・バーカー(番組ではアーサー・バーカー中佐と紹介。58年に大佐で退役、実録戦記物の作家に。昔 出ていたサンケイ出版の第二次世界大戦シリーズに収録された著書あり、ダンケルク撤退作戦についての本もハヤカワで訳されてる。うちにも神風特攻隊についての著書がありました)が1962年に、翌年出版する事になる本 The March on Delhi 取材の一環であろう、戦後は沈黙を守ってきた牟田口中将に書簡を送るのだが。
「散々バカにされてきたが、俺の作戦を評価した敵国の人もいる。間違ってなかった」と思わせ、結果的に晩年の自己弁護に走らせてしまったのって、罪深いなぁ。
だって、書簡受け取りから中将の死(1966年、77歳没)まで、たった4年ですからね。 黙したまま中将が亡くなっておれば、番組のエンディングも変わっていたでしょうに。

それにしても、純粋培養された日本軍人である中将、英語が堪能だったのか?
作戦を評価したA・J・バーカーの書簡、イギリス人独特の皮肉が含まれていたかも。
中将は、「我々イギリス軍を勝たせてくれた敵司令官」ですからね。

あと、当時を知る現地の人たちが、高齢だが若々しいのにビックリです。
インド奥地では、ときどき「120歳を超えた老人発見」というニュースが報道されますが、「戸籍もないし、眉ツバだよ」と頭から否定してはいけないのかも。
日本兵の幽霊もよく見るよ、って言ってましたね。本当にいるかも。

朝ドラ『ひよっこ』のビートルズ狂・宗男おじさんは、この作戦の生き残りという設定。
おじさんが生きていれば、今回 証言した兵士たちの年齢になっているんだな。

※ 現地調達した牛に荷物を運ばせ、食料としても利用する「ジンギスカン作戦」を立案して大失敗の牟田口中将。
戦後、中華料理店「ジンギスカンハウス」を経営したという記事がネット上にあるけど、悪い冗談みたいな話。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

3Dマカロニウエスタン『荒野の復讐』

3D映画として制作された、米伊スペイン合作のマカロニウエスタン『荒野の復讐』(1981 日本未公開)をイマジカBSで観た。
『13日の金曜日PART3』(アメリカ公開は1982年夏、日本公開は翌年春)に先立つ3D映画、アメリカでは1981年夏に公開されている。
フェルディナンド・バルディ監督、主演はトニー・アンソニー。

開巻から、3D狙いのカット連発。フツーのテレビ視聴でも、よく分かる。
瓶に巻き付いた蛇、スイカ、コウモリ、槍、赤ちゃんの尻まで!
モノクロ画面に部分染色とか、特撮技巧も凝らしており、約90分の上映時間を飽きさせない。
内容は、バルディ監督とトニーのコンビ作で、リンゴ・スターが出ている事で有名なマカロニ『盲目ガンマン』(1971)をリメイクした感じである。
ガンマンであるトニーの新妻(スペイン女優ヴィクトリア・アブリル、撮影当時20歳くらいでキュート)を含む女たちを誘拐した、人身売買の一味。
トニーは、首領のトンプソン兄弟(リカルド・パラシオスと、制作総指揮・共同脚本も担当したジーン・クインターノ)を倒して妻を奪還する。

エンドタイトルは、劇中の主な3Dカットが染色され、おさらい的に観られるという親切さ。
トニーに協力する口うるさい爺さんは、ルイス・ゴードンという役者らしい。役名は、ザ・プリーチャー=説教する人。

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『スパイダーマン : ホームカミング』

大ヒットの上、あちこちで絶賛モードなので、『スパイダーマン : ホームカミング』を観てみた。
本作も130分以上あり、学校生活のシーンが続きそうな雰囲気を見計らい、途中で一回トイレへ行く。
ワシントン記念塔、フェリー、夜の輸送機不時着(バウンド具合が、『サンダーバード』劇場版のゼロX墜落シーンそっくりである)と、特撮の見せ場では寝ることもなく、押さえたぞ。
私の感想だが、「面白く出来ているけど、そこまで絶賛するのは如何なものか」といったところですか。

まだ少年といってよい、15歳のピーター・パーカー=スパイダーマン(トム・ホランド)の成長物語。
トビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールドが主演した旧シリーズとは関連のないスパイダーマン新シリーズ1作目だが、マーベルコミックスのヒーローが共演するマーベル・シネマティック・ユニバース シリーズの前作『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』(2016)からの続きとして粗筋なしでイキナリ始まるから、これを観ていなくてスパイダーマン誕生話から始まると思っていた私は、面食らう。

太っちょだが実にデキる級友ネッド(ジャコブ・バタロン)をバディにして、街のヒーロー & 学校生活を謳歌するピーター少年の前に立ちはだかる悪役は、ホバー式ジェットスクランダー背負ってホントに『バードマン』状態になっちゃった、マイケル・キートン。
流石の貫禄だ。

ピーターが学校で想いを寄せ、ダンスパーティーに誘う女子(ローラ・ハリアー)は、彼より背が高い黒人系。
ひと皮ムケて、真のヒーローに なりかけの少年は、そーゆー ご趣味でしたか!
彼女の父親は、実に意外な人物なんですけどね。あ、アベンジャーズのアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)の隠し子じゃないよ。
個人的には この子より、校内テレビに出演してたブロンドのベティ(アンゴウリー・ライス)という子の方がカワイイと思うけど…。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

『トランスフォーマー 最後の騎士王』

長い映画を劇場で観る気がしなくなったのは、年齢的に途中でオシッコしたくなる事が多い為。
中座している時に良いシーンがあると、悔しいものだ。
今日は思い立って、途中で寝ようがオシッコ中座しようがストーリー理解の妨げに ならなそうだが、上映時間は2時間半近くもある『トランスフォーマー 最後の騎士王』を観た。

このシリーズ、市街地でメカ(サイバトロン=オートボット)同士ガッシャンガッシャン戦うのが最初は面白かったが、毎回 映画の尺が長い上にバトルもクドいので、1作目と3作目しか劇場で観ていない。
今後は、DVDかテレビスルーで済まそう!という気分だったが。
5作目となる本作はアーサー王伝説が物語のキーで、ブリティッシュ志向。悪くない。
英国の名優で79歳になったアンソニー・ホプキンス翁が、アメコミ映画『マイティソー』シリーズ出演の縁か、本作にも。登場場面は多く、じいさん元気だなぁ!

中盤は海底が舞台で、潜水艦も活躍。J・キャメロンの海洋SF『アビス』(1989)の忘れがたい特撮シーンが、オマージュとして最新VFXで再現されるのが見どころ。
ラストの舞台はストーンヘンジのある広大な草原で、地球壊滅のために宇宙から木の根っこというかハチの巣みたいな超巨大構造物が錨の如く降りてくるビジュアルが良かった。

人類側の兵器では、オスプレイが活躍。
新登場サイバトロンでは、コグマンというC3POみたいな人間タイプが目立っている。
葉巻(のように見える銃弾)くわえたヒゲの巨漢鬼軍曹みたいなのは、ハウンドという名なんだね。
12体の騎士サイバトロンが合体して誕生する三つ首ドラゴン(ドラゴンストーム)のCGデータは、来たるゴジラ映画のキングギドラに応用されるのかな?

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

ガラモンのマーキング柄 問題

6月発売の「特撮秘宝」6号(洋泉社)、今回も濃かったが。
読んですぐにDVDでチェックしたくなったのが、『ウルトラQ』(1966)の人気エピソードで放送順だと16話「ガラモンの逆襲」マーキング柄 問題である。
遊星人が地球侵略のため送り込んだ、ロボット怪獣ガラモンが複数体登場し東京で暴れる人気エピソードだ。

1体しかないガラモンの着ぐるみを、複数に見せるため。
胸に、⚓とΩ記号風のマーキング(シールであろうか)がされた2体は よく知られていたが、東京エリアに落ちたガラモン輸送の隕石カプセル・ガラダマは4個あったのだ。
東京湾に出現したのは別個体と分かるが、ビル街の合成カットで同一画面に2体現れるうちの1体は、ドライブインでテレビに映っていたヤツだと思っていたのに…また別の個体だったんですね。

マーキング無しと思われていた2体。
テレビに映ったガラモンは、首にブローチ風の丸いマーキング。
東京湾のガラモンは、腹に縦3本線マーキングが あったとは!
ファンコレや大全集のメイキング写真も改めて見直せば、鮮明ではないが、マーキングらしき何かが写ってた。
う〜む、何で今まで気付かなんだ?

今回の発見者・金田益実氏は、多くの特撮関連書籍を送り出している権威。
その人が、アイパッドなどの携帯機器で番組が手軽に視聴できるようになり ようやく気付いたんだから、市井の1ファンが気付かないのも無理はない。
竹内博やヤマダマサミ(「ガラモンは40メートルという設定なのに、333メートルの東京タワーを破壊するシーンでミニチュアと縮尺が合っていない点」について、この1体だけは200メートルサイズの特大個体であるという解釈を出した。『進撃の巨人』の、サイズが まちまちな巨人っぽい考え方ですね)ら特撮評論の功労者、ディテールに敏感なガレキ造形家たちも気付いてなかったんだろう。

1970年代中盤から起きたウルトラシリーズ再評価ムーブメント以降、制作に携わった多くの円谷プロ関係者にインタビューや原稿が依頼されて来たのに、デザイナーの成田亨ですら触れてなかった今回の件。
皆、マーキング程度のコトは、記憶の範疇から抜け落ちていたんだな〜。

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復活の日、近し? 小林信彦

「週刊文春」の、通しタイトルが 本音を申せば に落ち着いた長期連載エッセイが5月から休載中の小林信彦。
理由は明かされず84歳と高齢のため、ファンは様々な憶測を飛ばしていた。
だが、文庫本の解説を依頼された えのきどいちろう が、Jリーグチーム ホームページ上で書いているコラム「アルビレックス散歩道」によると、

小林さんは体調を崩されて目下、「文春」連載を休載しているが、ちくま文庫の編集者によると「スパルタなメニューに文句を言いながら順調にリハビリ中」

とのことで。
書庫に資料を取りに行く途中で転倒、利き腕を骨折(原稿は手書き執筆なので、書けなくなった)…ですかね?
たしか、10年以上前の「文春」連載でも、「転倒」という回があったはず。
休載のお断りを見たときは、来るべき日が来た?と思ったが、どうやら復活の日は近いようだ。

小林は、老舗和菓子屋の跡取りだった父が戦後、50歳で早世した事を原稿に何度も書いているので、短命の家系という認識を持つ人が多いと思うが。
実は再刊されてないエッセイ集に、長命の家系であるとズバリ書かれたものが収録されてるんですよね。
家族史である著書「和菓子屋の息子」(1996)には、1954年に亡くなった母方の祖父が、享年82とある。
小林は喫煙者だったが、紫煙で発熱するようになり早くから禁煙。パーティや宴会は欠席して煙害を避け(取材や対談相手の喫煙は許容範囲)、ダイエットなど健康管理もする慎重さで、先祖を超える長寿を目指している…と私は見ていた。

編集者・放送作家を経て作家になった人ではあるが、推理小説やミステリを始めとする本はもちろんのこと、喜劇・映画・ショウビズ(落語、漫才、舞台など。興味はラジオにも及ぶ)の見巧者で、早い評価と優れた論評の数々が20代から有名。
年をとっても、若手女優やアイドルへの興味を捨てぬオタクっぷり。
但し。気難しいというか、疎開体験・オタク気質から来る被害者意識というか。
一度は高く評価したタレントや映画作家の姿勢や発言に気分を損ねたら、良い作品もあるのに全く取り上げないか、ある時期から ほぼ無視状態・冷淡になる(古くは寺山修司、白坂依志夫、花田正輝、立川談志がそうだろう。「この人の仕事には興味が持てない」とした伊丹十三、「たけしを小林の娘が褒めていたと。褒められたとはいえ、娘がそんなに偉いのか」と対談で皮肉られたのを知り袂を分かった格好のビートたけし、最近では亡くなった大橋巨泉への冷たい書きっぷりも)ケースが多いのは、皆様ご存知の通り。
後に どれだけ偉業があろうとも、その人たちが亡くなる日まで続く、徹底的で恨み骨髄なシツコさである。
萩本欽一や伊東四朗は、評価が持続している例外と言えるか。
「文春」の長期連載エッセイも、一見クロニクルのようでいて抜け落ちが多い、小林の自分史なのだ。
ま、それで良いのだが、小林はコト映画評に関しては権威者という位置にあるから、寂しくもある。

ひと頃より、引いた読者になって久しい私ではあるが…。
でも もう少し、この人の映画評(特に、忘れられた古い映画をDVDなどで再見、解題してみせる時は さすがだなと思う。病床で思い出した映画的記憶もあろう)と、先立ったタレントや旧友への追悼文(森繁みたいに、96歳まで頑張れるかも)は読みたいので。
年内の再登場を待つ次第です。

※ 小林が娘をレーダー代わりに、ギャグやら芸人やらマンガやら面白いものを見つけている…というような話が「笑学百科」(1982)で書かれており、たけしはコレを皮肉って対談で語ったと思う。
たけしが1994年8月のバイク事故で亡くなっていたら、小林は追悼文をどこかで書いたろうか。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

突撃キャメラマンの栄光と死、『ぶっつけ本番』

1956年?に品川駅で取材撮影中、列車に はねられ亡くなった実在のニュースキャメラマン・松本久弥(劇中では松木。キネ旬引用の資料では松井久弥とあるが、松本が正しい)をフランキー堺が演じた、佐伯幸三監督『ぶっつけ本番』(1958.6 東京映画=東宝)を観た。

松本が所属した日本映画新社が協力し、下山事件(松本が線路上で亡くなったのは、この事件を撮影した因縁じゃあなかろうか?)や血のメーデー事件など、彼が撮影に関わった有名なニュース映画も挿入。
原作は、水野肇 小笠原基生 著の「ぶっつけ本番 ニュース映画の男たち」(1957 ダヴィッド社)。小笠原は日映の人らしく、昨年観て衝撃を受けた『にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活』(1970 東宝)などを制作している。

フランキーは、突撃キャメラマンを熱演。
清水港で炎上沈没するタンカーに乗り込んでまで撮影とか、マラソン選手と自転車で並走し手放し運転で撮影とか、撮影に熱中し出航する南極観測船・宗谷から降りられなかったとか…イヤー凄いです。
彼が負傷した1952年5月の「血のメーデー」は、記録映画と再現モブシーンのマッチングが良く、臨場感あり。
天津敏 内田良平 吉行和子(JMDBの出演作リストでは本作がトップだが、デビュー作ではない)といった、東宝らしくない顔ぶれも出演。
赤線のゲリラ撮影、パンパン役・塩沢登代路のメイクがロバート秋山のキャラ YOKO FUCHIGAMI を思わせ、笑えます。

※ 松本は生前、『朝日ニュース第423号 お迎えさん』の撮影で1953年度の日本映画技術賞も受け、死後は功績を讃える意味で1957年2月に第7回ブルーリボン特別賞を受賞したという(日本映画新社としてだが、彼が関わった下山事件のニュース映画『日本ニュース第182号々外 国鉄下山総裁謎の死』と血のメーデー事件のニュース映画『朝日ニュース349号 東京メーデー事件』の撮影も、日本映画技術賞を受けた)。
本作のエンディングは その特別賞授賞式風景だが、氏の受賞はウィキのリストに漏れている。

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バイオレンス映画の佳作『野獣を消せ』と三億円事件

チャンネルNECOでやっていた、渡哲也主演 長谷部安春監督『野獣を消せ』(1969.2 日活)は期待せずに観たが、ハードなバイオレンス活劇で驚く。

ベトナム戦争の時代、米軍基地の町(福生らしい)。
冒頭、着陸する米軍輸送機からパンし、空き地にやって来るチンピラグループ(藤竜也 川路民夫 集三枝子 尾藤イサオほか)のジープやバイクが映るキャメラワークが凄い。このタイミング、何回も やり直したんだろうね!
撮影は、姫田真佐久だ。
空き地のゴミ捨て場に連れ込まれ、レイプされる娘(吉岡ゆり)。
彼女は悔しさから、コークの瓶を割って尖らせ、自殺した。
チンピラは、瓶も使って陵辱したんじゃ…などと妄想した私。

妹の死を知った、プロハンターを業とする兄(渡哲也)が帰国。修理工場をしている叔父のところに やって来るが。
レイプ犯は分からずじまい。
チンピラグループに絡まれているのを助けた、親と不仲の金持ち娘(藤本三重子、歌手らしい)と仲良くなる渡。
奴らが妹をレイプしたことを渡が知るのは、娘と一緒にアジトへ監禁される中盤になってからだ。
米軍ハウスの白人女まで毒牙にかける連中だから、そんな事など日常の一コマであったろうが…。
かくて、ハンターの本領を発揮した渡の壮絶な復讐戦となる。
マカロニウエスタン並みの残酷描写。
トラバサミの罠、銃撃で尾藤の腕が吹き飛び、藤はスケの集とジープで突っ込んで来るところを眉間に一発、川地に至っては腹に食らいモツをはみ出して絶命する描写!スプラッター映画史に記録したい。
渡の弟分で聾唖者の修理工はジョー山中、城アキラ名義での出演。彼は実際に修理工として働いていたことがあるという。
叔父の工場長 鶴丸睦彦はあまり見ない老優だが、民芸の人らしい。

娘の身代金受け渡しや警察の捜査場面には、映画公開の3か月前に起きた三億円事件(1968.12)のムードがただよう。
撮影時、事件はもう起きていたかも。
当時、犯人ではないかと捜査の対象となるが自殺したという19歳の少年S(仮名で関根篤と書かれた本も)は、福生や横田基地あたりを根城にしていたチンピラ・立川グループの一員と聞く。
暴走行為や自動車窃盗、米軍物資の横流し(三億円は、そのルートで基地内に隠されたという説も)したメンバーもいた、映画に出てきたようなワルの仲間だったようだ。
当時 福生は、本当にあーいう連中が徘徊する怖い町だったんですね。

※ 藤本三重子も集三枝子も、オッパイが見えるサービスカットあり。
実生活で集のダンナは、大物イラストレーター宇野亜喜良!
藤本は現在、カルチャーセンターで歌を教えているようだ。
冒頭にレイプされる吉岡ゆりは大阪出身、後に『帰ってきたウルトラマン』『人造人間キカイダー』ゲスト歴あり。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

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