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やっぱり残酷で切ない、35年目の続編『ブレードランナー2049』

今日は、リドリー・スコット作品2本立てとなりました。

リドリーは監督せず、制作総指揮として参加の『ブレードランナー2049』を観た。
感想は、「続編としては最高だが、長いよ!コレ」でしょうか。163分も要らんだろう?
少し、ウトウトしちゃいました。
音楽担当は、ファンが熱望するヴァンゲリスじゃないけど(でも、Tears In Rain は使われてました!)、売れっ子 ハンス・ジマーとベンジャミン・ウォルフィッシュが、盗作扱いされかねないほど あの旋律に近付けた曲を提供してます。

レプリカントであるブレードランナー・K(ライアン・ゴズリング)のパートナーは、コスプレ自由自在なホログラムの恋人・ジョイ(キューバ出身の女優 アナ・デ・アルマス、かわいい)。
情報端末でもあり、ロス市警・LAPD本部の上司から連絡(着信音は、プロコフィエフの ピーターと狼。ファンが真似するぞ、絶対)があると静止してしまう。
触れられず永遠に結ばれることは叶わないが、別の女性に「二人羽織」する要領で、この壁を越えようとする展開があります!
日本で人気が出そう、オタクには ちょっと羨ましいキャラだ。

物語のキーとなるのは、前作で道ならぬ駆け落ちをした主役・ブレードランナーのデッカードとレプリカントのレイチェル。
デッカード役をハリソン・フォードが再演するのは告知されていたが、別女優にCG処理し、あの美しいままのレイチェル=ショーン・ヤングが「再現」されて登場するのにはビックリ。『ローグ・ワン』のピーター・カッシングに続く、快挙である。
但し、往年のレイチェルファンには、大ショックなシーンが用意されているが。
さらにガフ役のエドワード・J・オルモスも出演。だがウトウト、出番を観そこねた(再見して確認、ワンシーン出演で老人ホームに入ってる。羊の折り紙!電気羊かな)。

前作で我々を圧倒した都市ヴィジュアルのコチャコチャ感は抑えられ、地獄のようなロスのランドスケープ描写はあるが、炎は吹き上がってない。
カナダ出身の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは、フレンチテイストのシンプルな絵作りをしている。この春公開の『ゴースト・イン・ザ・シェル』と、一部ビジュアルが被ってますけどね。
だが、気候変動による海面上昇のため作られたロスの巨大防波堤の横を、スピナーが飛ぶシーンは圧巻。

あり得ないレプリカント妊娠の謎と、Kの持つ記憶の探求。
答を知ると思われるデッカードの居場所を突き止め、会えたが。
タイレル社を引き継いだウォレス社が拉致する。
ジョイのデータを収めたメモリースティック?も、破壊されてしまった。
喪失感の中、Kはデッカード奪還を決意。ウォレス社の女レプリカント・ルヴ(オランダ女優 シルヴィア・ホークス)との死闘は、怒涛打ち寄せる夜の海で展開する。
前作でマニアを唸らせた強力わかもとの広告は出ないが、パンナム(実際は1991年に破産、一時復活するも2008年に運行停止)やソニーやアタリやコカコーラやプジョーのネオンサインは登場。

雪が降りしきるエンディング。
デッカードを、意外な人物と関係ある博士(スイスの女優 カーラ・ジュリ)の研究所へ送り届けたあと、入口の階段に寝込み動かなくなる怪我をしたKの姿。
ちょっと、アニメ『カウボーイビバップ』最終回を想起した。
そう、1982年に作られた前作が日本のアニメに与えた多大な影響が、本家に再吸収されている感じがアチコチでするのだ。
天井から垂れ下がるラミネートチューブから産まれたばかりの女レプリカント(サリー・ハームセン)が不良品?扱いで、ウォレス社長(ジャレッド・レト)に “処理” されるシーンが酷くて、記憶に残るが。
産まれ落ちるカット、『イノセンス』でガイノイドが検死官の部屋でラミネートパックされてるシーンを想起した。
全裸で立っているとき腹を刺すのだが、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air / まごころを、君に』で、綾波レイの腹(子宮)にアダム胎児と癒着した手を突っ込む碇ゲンドウを想起した。

最初に長いとは書いたが、前作同様に繰り返し観られることになるであろう続編。
残酷でハードな描写を含むSFだが、すれっからしの独身オタクですら琴線に触れる、切ない男女の愛が盛り込まれているから。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

エイリアン=ゼノモーフは、異星人とアンドロイドの共作だった!『エイリアン コヴェナント』

雨の午後、『エイリアン コヴェナント(ウィキなどの表記は、エイリアン:コヴェナント)』を観に行く。
もうじき80歳という、リドリー・スコット監督の凄い馬力には感服だが、後味は すこぶる悪い。
メシが まずくなるタイプの映画ですな。
シリーズ恒例の強いヒロインであるダニー(キャサリン・ウォーターストン)が、エイリアンに重機をぶつけ宇宙へ押し出すくだりは、ジェームズ・キャメロン監督『エイリアン2』(1986)みたいな事を、リドリーも やってみたかったんでしょうね。
植民宇宙船コヴェナント号がソーラーエネルギーチャージのため、金色のセイルを貼り帆船状態となるビジュアルも面白い(推進ロケット部分を見て、ダイコンオープニングアニメの宇宙船をフト思い出した)。

エンジニアと呼ばれるアルビノ巨人型宇宙人による全ての始まりと、2093〜94年の事件を描いた『プロメテウス』(2012)の続編であり、今度こそ『エイリアン』(1979)に続く…となるプリクエルと思ったが、例の馬蹄形宇宙船(遺棄船と呼称されるアレ)はエンジニアの母星・セクター87 第4惑星に転がったままで、惑星LV426に行かずじまい。
本作は西暦2104年12月の出来事であり、『エイリアン』の2122年までは間がある。
『プロメテウス』で登場し、ラストは生き残った女性科学者エリザベス(ノオミ・ラパス)とエンジニアの母星を目指したアンドロイド・デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が実は静かに狂っていて…。
あのエイリアンは結果的に、エンジニアとデヴィッドの共作とでも言える生物であったのか。

ラスト、デヴィッドに乗っ取られたコヴェナント号が、本来の目的地・植民星オリガエ6に向かうが。
リドリー監督は、もう一本のプリクエルを作る気だろう。
デヴィッドに壊され、すり替わられたコヴェナント号の同型後継アンドロイド・ウォルター(こっちもファスベンダー、2体が縦笛を共同で吹き鳴らす一人二役特撮は秀逸!)が自己修復し、オリガエ6でのコヴェナント号乗員を使った人体実験でエイリアン=ゼノモーフ改良を納得するレべルで終え、第4惑星に戻ってきたデヴィッドと再対決するのでは?
コヴェナント号が大破して宇宙船を再起動する必要性が生じ、その後LV426へ向かう展開があって、遺棄船となるのでは ⁇
リドリー監督、続編が自分で作れるかどうかは、レプリカントじゃないが寿命との戦いですな。

なおエンドタイトル冒頭に、2014年に階段で転倒したのがもとで亡くなったエイリアンのデザイナー・H.R. ギーガーの名が表記されていた(クレジットは、オリジナルデザイン・エレメンツ)。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

東宝の脇役・広瀬正一 覚え書き

チャンネルNECOで久々に観た、大林宣彦監督の劇場映画第1作『ハウス HOUSE』(1977.7 東宝)。
目が痛くなるエフェクトの嵐は、年齢的に こたえました(笑)。

東宝の脇役で、キングコングの着ぐるみにも入った広瀬正一(1918〜?)、なぜか熊とオヤジが店主のラーメン屋の客役で出演…とウィキや資料にあるけれど。
麺を口に入れたまま喋る その役者は、痩せていて歯も抜けてるみたいだし、別人では。
広瀬は、仁王様系の でっぷりした体躯。
少し前のロングショットで何か叫んでる、トラック野郎の役じゃないのかな。
あとウィキに、大西康雅(康雄 表記もあり)という大部屋俳優が演じる村の老人が、先生役の尾崎紀世彦と絡む…と書いてあるが、2度観たけど そんなシーン無いぞ。
大西、セピアの回想シーンで出ている老人の1人か?
『七人の侍』では百姓役、『ゴジラ』にもノンクレジットで出ているそうだ。

なお、広瀬正一は本作の後も大林作品など、1988年まで映画に数本出演しているが。
淡い親交があった白石雅彦が、「特撮秘宝」4号(2016)に寄稿した一文によると。
現場では愛されていたのだろう、東宝が専属俳優制度を止め解雇した後も、東宝スタジオの雑役やステージマンとして雇われ、長く勤めていたという。
だが1990年ごろ、椎間板ヘルニアで入院。
同年発売の特撮ファン雑誌「宇宙船」51号で、中島春雄・薩摩剣八郎と対談した後だろうか。
白石は労災病院に見舞ったというが、それが別れに。数年後、老人ホームで亡くなったという(70代中盤か)。
生涯独身だった。
でも没年不詳とは、寂しい限り。最後に広瀬が出演した『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群』の大林監督は、何か ご存知かもしれないが…。
8月に亡くなり、大きく報じられた中島春雄は、大部屋俳優でも別格だったということか。

広瀬のニックネーム・ソロモンは、戦争でソロモン海海戦(1942)の生き残りだからと、ウィキなどにも載っているが。
アフリカロケの秘境冒険映画『キング・ソロモン』(アメリカ 何度も映画化されたが、最初の1937年版)に出てくる歌う黒人酋長ウムボバ(ポール・ロブソン)に似ているから、という、「映画裏方ばなし」(1980 講談社)の鈴木一八 説もある。
広瀬に かような従軍体験が無ければ、後者が正しいはず。

ネットの東宝資料室データだと、最初にクレジットされた映画は、1950年の佐藤武監督『歌姫都へ行く』。
荒事・スタントのできる専属大部屋俳優で、『情艶一代女』(1951)では、冬の大川(隅田川)に飛び込んだという。
『七人の侍』(1954)では特異な横長の兜をかぶった野武士を演じ、頭目が倒れたあと、農家の裏木戸から豪雨に紛れ逃げた模様。
黒澤明は、この野武士の自筆デザイン画に “ソロモン” と記していた。

『モスラ』(1961)で、第3ダムに現れたモスラ幼虫に驚き、大福を飲み込む監視員役はマニアに有名。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(2) * pookmark

『無理矢理ロッキー破り』

1980年代にビデオで出ていた、『追跡珍名場面集/ザ・グレート・チェイス』(1963 未公開)というサイレント喜劇のアンソロジー映画があって。
追われる恋人が逃げ込んだ貨物列車を主人公が、走り→馬車→馬→スポーツカーで追いかけるシーンが印象に残っていた。
乗せてもらったスポーツカーで爆走してくる貨物列車の直前を横切るカット、並走させ乗り移るという超絶カースタントは、わが『散歩する霊柩車』(1964.10 東映)『喜劇 駅前漫画』(1966.4 東宝)でも特撮を使用してマネされている。
スポーツカーが対向線路から来た別の汽車と激突する直前、ヒラリと貨物列車に乗り移るのが凄いけど、ここはワンカットでなく編集処理のようだ。

夏に日本映画専門チャンネルで観た『日本俠花伝』(1973.11 東宝)劇中の映画館で、この場面が上映されていた。
筒井康隆の「不良少年の映画史」にも取り上げられていたが。
筒井曰く、チャップリンの にせもの!イタリア出身の喜劇俳優・監督であるモンティ・バンクスが主演した『安全第一』(1927 同年日本公開)のクライマックスである。
全長版は5巻・50分。2巻に短縮された版は、『無理矢理ロッキー破り』という題のようで、こっちの方がよく知られているかも。
原題は、プレイ・セーフ。
以下は、キネ旬のストーリー紹介である(改行・一部修正)。

莫大なる財産の継承者である女性ヴァージニア・クレイグ(ヴァージニア・リー・コービン)は、腹黒い後見人(チャールズ・ヒル・メイルズ)の禄でなしの息子と結婚させられそうになって、家出する。
クレイグ工場の一労働者たるモンティ(モンティ・バンクス)は、ヴァージニアが嵐を避けてある門辺に佇んでいる時、ひったくりにバッグを奪われそうになっているところに出くわし、彼女を救う。
濡れた衣服を乾かすために、モンティはヴァージニアを家に招く。
なかなか乾かないので、ヴァージニアに自分のベッドを提供し、モンティは他に寝場所を求めねばならなくなった。
そこへヴァージニアを捜索していた後見人が彼女を見つけ出し、屋敷に連れ戻す。
彼女が、一労働者にすぎないモンティに少なからぬ興味を抱いていることに気づいた後見人は、モンティをクビにして危険人物だと言いふらす。
そしてヴァージニアに彼への幻滅を抱かせるために策を弄して、悪漢一味に彼女を襲撃させる。
そこへ後見人の息子が飛び出して悪漢を成敗し、悪漢はあらかじめ言い含められていた通りにモンティに雇われた、と嘘の白状をする。
けれどもヴァージニアは、モンティに罪のないことを信じるのだった。
モンティは彼女と共に逃走し、後見人の一行はそれを追跡する。
そして、ロッキー山脈を行く貨物列車上で色々な離れ業を演じた揚げ句、モンティは最後の勝利者となった。
そして今はクレイグ工場主であるヴァージニアの良人となり、そこの支配人となったのである。

この中の「モンティは彼女と共に逃走し、後見人の一行はそれを追跡する。そして貨物列車上で色々な離れ業を演じた」部分が、こんにちも色褪せないグレートチェイスという訳ですね。
多くの映画(『マルクスの二挺拳銃』から、ジョニー・デップの『ローン・レンジャー』まで)に影響を与えています。
なお、最後にはチープだけど笑えるミニチュア特撮が使われており、これにも満足。

モンティ・バンクスはトーキー以後も活躍、助演にまわる傍らローレル・ハーディ喜劇などで監督業も務め、1950年に故国イタリアで亡くなった。享年52。
監督のジョージ・ヘナベリーは俳優もしており、映画史に残る『国民の創生』(1915)でリンカーンを演じた経歴を持つ人。長身なので抜擢されたようだ。
キャリアは戦前に終わっているが、1976年まで存命、享年88。
1960年代以降、サイレント喜劇の復権が著しかったけど、研究者はアンソロジー映画にも収録された本作について、インタビューしてないのかな?

細かいことを言うと。
『日本俠花伝』は大正6年(1917)頃の話なので。約10年後、昭和に入ってから作られた本作が上映されているというのは考証ミス!まさに無理矢理ですね。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

ファンを たばかり旅立った? 土屋嘉男 追悼

土屋嘉男が、2017年2月に亡くなっていたことを知る。
9月6日に公表されたそうだ。死因は肺がん、享年89。
山梨の旧家の出で、戦時中は医専で学ぶ。
戦後、俳優座へ。
専属契約を結んだ東宝で、黒澤映画 特撮映画 に多数出演。海外でも人気が高い両者の語りべとしても、貴重な俳優であった。
公開順では『私はシベリヤの捕虜だった』(1952.4 東宝)が先だが、映画初出演作の『殺人容疑者』(1952.8 新東宝)では刑事役。
同僚の小林昭二と一緒に犯人を追うシーンがあり、後年 共に特撮モノで名を残したのは、面白い偶然といえよう。
私が いちばん驚いた出演作は特撮モノではなく、『薔薇の葬列』(1969.9 ATG)。
ゲイバーのナンバー1・ピーター(映画初出演)とデキてる、店の経営者役!
土屋は喪主をつとめた奥様もいて、ソッチの気は無かったようだが、けっこう迫真でした。
最後の劇映画出演は、『北辰斜(ななめ)にさすところ』(2007.12 東京テアトル)。
スティーヴン・オカザキ監督のドキュメンタリー映画 Mifune : The Last Samurai(2015、16年秋に三船敏郎賞を設けている京都国際映画祭で限定上映)では、8月に亡くなった中島春雄とコメント出演している。
最後のテレビドラマ出演は、水野久美と一緒に助演したNHKの広島発8月6日ドラマ『かたりべさん』(2014)。
トーク番組では、15年12月のBS朝日『昭和偉人伝 黒澤明』コメントか。今思うと、少し痩せていたなぁ。

遺族が、土屋の死を半年 伏せたのって、先祖が仕えたという武田信玄(自身の死を3年の間は秘匿せよと遺言)に由来する家訓でもあったんですかね?
釣りや登山など、多趣味でも知られた。
晩年は、やや滑舌が悪くなっていたようだが。
ある時期まで定期的に出演(私が所有する出演回で一番新しいものは、1999年9月)していた『徹子の部屋』に、膨大な面白話VTRが残っているはずだから、二回に分けてでも是非 特集放送かソフト化を。
氏の映画以外での代表作は、なんといってもコレですからね。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

朝ドラ女優は脱がされがち?『日本俠花伝』

日本映画専門チャンネルで、加藤泰監督『日本侠花伝』(1973.11 東宝)を観た。
1972年度の朝ドラ『藍より青く』(山田太一 原作脚本。当時の朝ドラは1年続いた)主演女優・真木洋子(真木よう子ではない)を主役にした、2時間半もある大作。途中で休憩が入る。
元は、浅丘ルリ子にアテて書かれたシナリオという。

大正時代。震災前の世情不安な時代を、関わった男たち(四国のインテリ坊ちゃん・村井国夫、神戸の組長・曽我廼家明蝶、そしてカッコいい刺客ヤクザの渡哲也)に翻弄されつつ生き抜く女一匹の話。
劇画的な構図の数々が決まっており、『修羅雪姫』シリーズ(1973.12 74.6)に繋がったか。
真木は正に「体当たりの熱演」というヤツで、濡れ場や警察で乳出しの拷問を受けるシーンは映画の売りだったろうが、官能よりも痛みだけ感じるね〜。
ウィキによれば、会社や監督に1か月がかりで口説き落とされた模様。その甲斐あって、映画の代表作となった。
でも、前半は刑務所で知り合う大久保佳代子似の任田順好(とうだじゅんこう)=沢淑子が目立ちすぎ、お気の毒。
なお、真木は2000年に51歳で亡くなっている。急性骨髄性白血病だった。

東宝映画なれど、東映・松竹・日活系の匂いも持った出演陣。
北大路欣也(海軍軍人)と加藤剛(牧師…実在のキリスト教系社会運動家・賀川豊彦)は真木の相手役ではなく、ワンシーンだけのゲスト格。
渡が冒頭で刺殺する代議士に富田仲次郎、釈放された任田と話す飯屋のオヤジに桑山正一、任田を監視する刑事の1人は広瀬正一。
汐路章は、長髪の講釈師みたいな扮装で登場。
マザコン気味な村井の母は大塚道子、番頭は藤原釜足。
真木が親子ほど年の差がある曾我廼家と結婚し、姐さんになる組のカシラは武藤章生。
敵対する組のボスが安部徹。毛むくじゃらな子分にレスラーのマンモス鈴木。
海軍の荷役入札には、野口元夫 向井淳一郎も出席。
貧民街の住人に大村千吉、アップもあって菅井きん に頭を叩かれてた。
米騒動で襲撃されるのは、見明凡太朗か。
真木を拷問する官憲は おいしい役だが、ジラースを育てたモンスター博士こと森幹太らしい。物凄い怪演、本作でイチバン印象に残る脇役。部下に菊池英一がいるぞ。
釈放されるもボロボロの彼女を介護した三国人は、谷村昌彦と園佳也子。
ラスト近く、列車で相席になる浪曲師?は小島三児。
外野村晋 伊達三郎 田中筆子の名もクレジットに。
奇声の和久井節緒は雨中の荷役シーンでセリフがあり分かるが、池田勝 今西正男といったベテラン声優は出番不明。

朝ドラ女優は、健気な役の後にハードな役をオファーされ、脱がされがちなもんなのか?
『ひよっこ』の有村架純も、撮影は前だったかもしれんが、10月公開の映画『ナラタージュ』で…。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

細田守は関係ない、『ラスト・サマーウォーズ』

ムービープラスで、ロシア製の戦争物『ラスト・サマーウォーズ』(2015 日本未公開 DVD発売のみ、本国ではHTBで2016年に放送されたテレビムービーらしい)を観た。
実際のタイトルはОрден(英題:The Medal)で、メダルとは勲章のこと。
第二次世界大戦末期、1945年8月。
ナチスドイツ降伏後に残った軍国主義の国は、日本だけだ!
ソ連による満州国攻略を描く、今まで ありそうでなかった作品。
「不可侵条約を破って、いきなり攻め込んできた」「逃げる日本人婦女子に、野蛮なロシア兵が暴行」といった負のイメージ(日本側から見た)しか聞いたことがないし、何と言っても敵として描かれるのは同胞。
ドキドキしつつ観たが、いわゆる国辱的な描写(ソ連侵攻前に、逃亡を画策した日本軍将校が、後ろから弓矢で粛清されるとかね)もあるとはいえ、あまり考えさせずに観られるスタイルの戦争映画になってました。

主演は、ロマン・ポリアンスキーという どっかで聞いたような名の男優だが、ちゃんとした日本人俳優が出ていたのは意外。
先述した将校役は、資料でオサマ・ヤマモトとなっている山本修(修夢)。
上流階級らしい将校の愛人は、中丸シオン。
特高役は、ロシアで活躍する俳優・監督の木下順介である。
ハタ(秦)関東軍参謀総長役は、セト・ゲン(瀬戸 ?世戸?)という俳優だが、梅宮辰夫みたいで威厳あり。
IMDbによると1955年 神奈川生まれで、90年代からドイツを中心に国際的に活躍(日本公開作には、イタリア映画『鑑定士と顔のない依頼人』がある)、短編映画の監督もしているという。へ〜。

アジビラを貼る中国人を殴りつけた日本兵が、「このチャンコロめ!」と罵るカットがありました。変なところに凝ってるな。
ラストシーン。攻略作戦を成功させた戦争英雄処遇の具申に、スターリンらしき人物が一言。ロシアじゃウケどころなのかな?

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夏の風物詩、NHKの戦争特集『戦慄の記録 インパール』

NHKスペシャル『戦慄の記録 インパール』を観た。
新旧の映画『野火』も、日本映画専門チャンネルでオンエア中(こちらはフィリピン戦線が舞台)。良いタイミングですね。

1944年3月。起死回生すべく、イギリス軍に挑む敗色濃い日本陸軍。
物質・食料補給を大和魂でフォローせよと言わんばかりの無謀な高地突破作戦と、名誉のため後に引けなくなった牟田口中将と軍上層部。
多くの兵士を無駄死に させてしまう。
彼らの無責任ぶりも含めた今回のドキュメンタリーは、ひたすら重い。
飢餓による食人についても語られるが、人肉を物々交換・売ってた奴まで いたとはね。
マラリアに罹り前線に放置されたという、牟田口中将の副官(斎藤少尉)の記録。彼は生き延び、戦後 連合軍の捕虜となって生還。96歳で存命、ふりしぼるように語るのがエンディング。
「国家の指導者層の理念に疑いを抱く 望みなき戦を戦う 世にこれほどの悲惨事があろうか」

現地での戦闘に参加したという元英軍人 A・J・バーカー(番組ではアーサー・バーカー中佐と紹介。58年に大佐で退役、実録戦記物の作家に。昔 出ていたサンケイ出版の第二次世界大戦シリーズに収録された著書あり、ダンケルク撤退作戦についての本もハヤカワで訳されてる。うちにも神風特攻隊についての著書がありました)が1962年に、翌年出版する事になる本 The March on Delhi 取材の一環であろう、戦後は沈黙を守ってきた牟田口中将に書簡を送るのだが。
「散々バカにされてきたが、俺の作戦を評価した敵国の人もいる。間違ってなかった」と思わせ、結果的に晩年の自己弁護に走らせてしまったのって、罪深いなぁ。
だって、書簡受け取りから中将の死(1966年、77歳没)まで、たった4年ですからね。 黙したまま中将が亡くなっておれば、番組のエンディングも変わっていたでしょうに。

それにしても、純粋培養された日本軍人である中将、英語が堪能だったのか?
作戦を評価したA・J・バーカーの書簡、イギリス人独特の皮肉が含まれていたかも。
中将は、「我々イギリス軍を勝たせてくれた敵司令官」ですからね。

あと、当時を知る現地の人たちが、高齢だが若々しいのにビックリです。
インド奥地では、ときどき「120歳を超えた老人発見」というニュースが報道されますが、「戸籍もないし、眉ツバだよ」と頭から否定してはいけないのかも。
日本兵の幽霊もよく見るよ、って言ってましたね。本当にいるかも。

朝ドラ『ひよっこ』のビートルズ狂・宗男おじさんは、この作戦の生き残りという設定。
おじさんが生きていれば、今回 証言した兵士たちの年齢になっているんだな。

※ 現地調達した牛に荷物を運ばせ、食料としても利用する「ジンギスカン作戦」を立案して大失敗の牟田口中将。
戦後、中華料理店「ジンギスカンハウス」を経営したという記事がネット上にあるけど、悪い冗談みたいな話。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

3Dマカロニウエスタン『荒野の復讐』

3D映画として制作された、米伊スペイン合作のマカロニウエスタン『荒野の復讐』(1981 日本未公開)をイマジカBSで観た。
『13日の金曜日PART3』(アメリカ公開は1982年夏、日本公開は翌年春)に先立つ3D映画、アメリカでは1981年夏に公開されている。
フェルディナンド・バルディ監督、主演はトニー・アンソニー。

開巻から、3D狙いのカット連発。フツーのテレビ視聴でも、よく分かる。
瓶に巻き付いた蛇、スイカ、コウモリ、槍、赤ちゃんの尻まで!
モノクロ画面に部分染色とか、特撮技巧も凝らしており、約90分の上映時間を飽きさせない。
内容は、バルディ監督とトニーのコンビ作で、リンゴ・スターが出ている事で有名なマカロニ『盲目ガンマン』(1971)をリメイクした感じである。
ガンマンであるトニーの新妻(スペイン女優ヴィクトリア・アブリル、撮影当時20歳くらいでキュート)を含む女たちを誘拐した、人身売買の一味。
トニーは、首領のトンプソン兄弟(リカルド・パラシオスと、制作総指揮・共同脚本も担当したジーン・クインターノ)を倒して妻を奪還する。

エンドタイトルは、劇中の主な3Dカットが染色され、おさらい的に観られるという親切さ。
トニーに協力する口うるさい爺さんは、ルイス・ゴードンという役者らしい。役名は、ザ・プリーチャー=説教する人。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

『スパイダーマン : ホームカミング』

大ヒットの上、あちこちで絶賛モードなので、『スパイダーマン : ホームカミング』を観てみた。
本作も130分以上あり、学校生活のシーンが続きそうな雰囲気を見計らい、途中で一回トイレへ行く。
ワシントン記念塔、フェリー、夜の輸送機不時着(バウンド具合が、『サンダーバード』劇場版のゼロX墜落シーンそっくりである)と、特撮の見せ場では寝ることもなく、押さえたぞ。
私の感想だが、「面白く出来ているけど、そこまで絶賛するのは如何なものか」といったところですか。

まだ少年といってよい、15歳のピーター・パーカー=スパイダーマン(トム・ホランド)の成長物語。
トビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールドが主演した旧シリーズとは関連のないスパイダーマン新シリーズ1作目だが、マーベルコミックスのヒーローが共演するマーベル・シネマティック・ユニバース シリーズの前作『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』(2016)からの続きとして粗筋なしでイキナリ始まるから、これを観ていなくてスパイダーマン誕生話から始まると思っていた私は、面食らう。

太っちょだが実にデキる級友ネッド(ジャコブ・バタロン)をバディにして、街のヒーロー & 学校生活を謳歌するピーター少年の前に立ちはだかる悪役は、ホバー式ジェットスクランダー背負ってホントに『バードマン』状態になっちゃった、マイケル・キートン。
流石の貫禄だ。

ピーターが学校で想いを寄せ、ダンスパーティーに誘う女子(ローラ・ハリアー)は、彼より背が高い黒人系。
ひと皮ムケて、真のヒーローに なりかけの少年は、そーゆー ご趣味でしたか!
彼女の父親は、実に意外な人物なんですけどね。あ、アベンジャーズのアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)の隠し子じゃないよ。
個人的には この子より、校内テレビに出演してたブロンドのベティ(アンゴウリー・ライス)という子の方がカワイイと思うけど…。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

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