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『愛と憎しみの彼方へ』

日本映画専門チャンネルでやっていた、谷口千吉監督『愛と憎しみの彼方へ』(1951 映画芸術協会の第1回作品 東宝配給) というベタな題の映画を、ノーマークで観た。

第一印象に反し、黒澤明・谷口コンビのシナリオ (原作あり) による良作。
得した気分になる。
当時 谷口も監督として好調だったが、1951年1月公開というと黒澤は『羅生門』のあと、『白痴』の前作に当たり、この年の秋にはヴェネチアで金獅子賞受賞が待っていたという好調期。
面白くないわけがなかろう。

北海道ロケを生かした、アクション(ダムの湖水にダイブするスタントあり)メロドラマ。
番宣では、脱獄する模範囚役の三船敏郎と人情派看守の志村喬コンビを強調していたようだが、ビリングのトップは医師役の池部良と、三船の妻役の水戸光子である。念のため。

冒頭は網走刑務所。
スリリングな雨の夜の集団脱獄と捕り物シーンが、テンポよく描かれる。
円谷英二のミニチュアカットも拝めて得した気分だ。
ちなみに、音楽は伊福部昭である。
三船を「奥さんが医師と浮気している」とそそのかし、逆上させ一緒に脱獄させる囚人は小澤栄。
脱獄囚の中には、黒澤『野良犬』のチンピラ役・水谷史郎や上田吉二郎も。

トラックで捜索に出動するとき、あくまで三船をかばう看守・志村に「甘いな」と言っていた同僚。
線路に倒れ動けない脱獄囚を、迫る汽車から必死で救うことになる。
蒼白の顔がアップになるが、のちに東宝映画の常連傍役となる宇野晃司らしい。ノークレジット出演だった。

6人の脱獄囚のうち三船と小澤以外を逮捕して、帰還した所員たちの泥だらけなレインコートや靴。
キャメラ横移動で捉えたカットが上手いなぁ。
黒澤が書いた部分じゃないか。

嫉妬に狂って追ってくる三船から逃れ、北海道の原野を子供連れで逃げることになる池部と水戸。
火山地帯 (屈斜路湖近くの硫黄山だろうか) でのクライマックスまで、ロケ効果も満点だ。

日本映画の黄金時代を支えたバイプレイヤーが脇を固めているが、皆 若いうえハッキリ顔を映さないので、どこに出ているか判りにくい人も。
佐野浅夫は新聞記者、近藤宏は看守。田島義文は納屋で捕まる脱獄囚?、稲葉義男が線路で動けなくなった脱獄囚…らしい。

2度観たが、クレジットされている大村千吉の出番が分からなかった。
資料によると、大村は役名が「歌う受刑者」となっており、場面カットされたが名はクレジットに残ったか、フィルム欠落と思われる。
J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

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