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復活の日、近し? 小林信彦

「週刊文春」の、通しタイトルが 本音を申せば に落ち着いた長期連載エッセイが5月から休載中の小林信彦。
理由は明かされず84歳と高齢のため、ファンは様々な憶測を飛ばしていた。
だが、文庫本の解説を依頼された えのきどいちろう が、Jリーグチーム ホームページ上で書いているコラム「アルビレックス散歩道」によると、

小林さんは体調を崩されて目下、「文春」連載を休載しているが、ちくま文庫の編集者によると「スパルタなメニューに文句を言いながら順調にリハビリ中」

とのことで。
書庫に資料を取りに行く途中で転倒、利き腕を骨折(原稿は手書き執筆なので、書けなくなった)…ですかね?
たしか、10年以上前の「文春」連載でも、「転倒」という回があったはず。
休載のお断りを見たときは、来るべき日が来た?と思ったが、どうやら復活の日は近いようだ。

小林は、老舗和菓子屋の跡取りだった父が戦後、50歳で早世した事を原稿に何度も書いているので、短命の家系という認識を持つ人が多いと思うが。
実は再刊されてないエッセイ集に、長命の家系であるとズバリ書かれたものが収録されてるんですよね。
家族史である著書「和菓子屋の息子」(1996)には、1954年に亡くなった母方の祖父が、享年82とある。
小林は喫煙者だったが、紫煙で発熱するようになり早くから禁煙。パーティや宴会は欠席して煙害を避け(取材や対談相手の喫煙は許容範囲)、ダイエットなど健康管理もする慎重さで、先祖を超える長寿を目指している…と私は見ていた。

編集者・放送作家を経て作家になった人ではあるが、推理小説やミステリを始めとする本はもちろんのこと、喜劇・映画・ショウビズ(落語、漫才、舞台など。興味はラジオにも及ぶ)の見巧者で、早い評価と優れた論評の数々が20代から有名。
年をとっても、若手女優やアイドルへの興味を捨てぬオタクっぷり。
但し。気難しいというか、疎開体験・オタク気質から来る被害者意識というか。
一度は高く評価したタレントや映画作家の姿勢や発言に気分を損ねたら、良い作品もあるのに全く取り上げないか、ある時期から ほぼ無視状態・冷淡になる(古くは寺山修司、白坂依志夫、花田正輝、立川談志がそうだろう。「この人の仕事には興味が持てない」とした伊丹十三、「たけしを小林の娘が褒めていたと。褒められたとはいえ、娘がそんなに偉いのか」と対談で皮肉られたのを知り袂を分かった格好のビートたけし、最近では亡くなった大橋巨泉への冷たい書きっぷりも)ケースが多いのは、皆様ご存知の通り。
後に どれだけ偉業があろうとも、その人たちが亡くなる日まで続く、徹底的で恨み骨髄なシツコさである。
萩本欽一や伊東四朗は、評価が持続している例外と言えるか。
「文春」の長期連載エッセイも、一見クロニクルのようでいて抜け落ちが多い、小林の自分史なのだ。
ま、それで良いのだが、小林はコト映画評に関しては権威者という位置にあるから、寂しくもある。

ひと頃より、引いた読者になって久しい私ではあるが…。
でも もう少し、この人の映画評(特に、忘れられた古い映画をDVDなどで再見、解題してみせる時は さすがだなと思う。病床で思い出した映画的記憶もあろう)と、先立ったタレントや旧友への追悼文(森繁みたいに、96歳まで頑張れるかも)は読みたいので。
年内の再登場を待つ次第です。

※ 小林が娘をレーダー代わりに、ギャグやら芸人やらマンガやら面白いものを見つけている…というような話が「笑学百科」(1982)で書かれており、たけしはコレを皮肉って対談で語ったと思う。
たけしが1994年8月のバイク事故で亡くなっていたら、小林は追悼文をどこかで書いたろうか。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

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