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コサックことチャールズ・サウスウッドは、タバコの害を訴える西部男だった

『荒野の無頼漢』(1970)という、マカロニウエスタン後期のコメディ調作品があって。
ジョージ・ヒルトン演じる主人公アレルヤが使う、ミシンタイプのマシンガンが有名だが、セクシーな尼僧やコサックという自称ロシア貴族まで登場する。
コサックを演じたのは、チャールズ・サウスウッドなる二枚目俳優。
どうせ、クリント・“イースト”ウッドにあやかったイタリア俳優の変名と思っていたが。
ウィキに項目があったので見てみると、以前書いたマカロニ俳優 トム・ハンターと同様、ロス生まれ オレゴン育ちの歴としたアメリカ人。しかもサウスウッドは本名だった!

1937年生。大学卒業後の60年代中盤、ヨーロッパで職探し中(フランスで港湾労働した事もあると書かれたサイトも)、ターザン役で知られ当時イタリアやドイツに拠点を移していたアメリカ俳優 レックス・バーカーのスタンドインとして映画界へ。
マカロニウエスタンなどで主役級に抜擢されるが、日本に紹介された作品は『荒野の無頼漢』以後なし。謎の俳優であった。
1981年、アニエス・ヴァルダの中編映画 Documenteur を最後に帰郷。俳優は辞め、大学教師と結婚し一男一女をもうけた。

面白いのは ここから。
オレゴンに戻って50代になったサウスウッドは、1991年に「デスシガレット」のアイデアを思いつく。
13〜40歳の間 喫煙者だった彼は、タバコの害について容赦なく、そして正直になることを決めたのだ。
1970年代後半に出演作が無いのは、彼に禁煙を決意させるような健康被害が出て、休業していたのだろうか?
73年にナタリー・ドロン クルト・ユルゲンスと共演した
Profession: Aventuriers 以降、しばらく映画出演していない。ショウビズの仕事に転身説もあるが、この年に恩人ともいえるレックス・バーカーが54歳で急死(心臓発作)しており、思うところがあったのか?

デスシガレットだが、健康に配慮した標準的な警告に加えて、棺のデザイン化とも言えるドクロとクロスボーンの付いた黒い小箱にタバコを詰めるというもの。
しかし、主要な米国のタバコ会社は彼のアイデアが「会社の利益とは相容れない」と当然のごとく拒否。
めげないサウスウッドは再びヨーロッパで、アイデアを実現してくれるオランダの小規模なタバコ会社を見つけた。
そして、製品を販売店に持ち込む勇気があるタバコ卸売業者が現れなかったとしても、自らタバコの葉のブレンドをちょうど良くするべく、短い間 再び喫煙を始めた。
彼は語る、「卸売業者は主要なタバコ会社からの圧力が怖いんだと思います」。

私は喫煙者ではないので疎いが、デスシガレットはイギリスで1991〜99年に販売されたという。
ブラックユーモアというか洒落のキツい商品というわけではなく、切実な願いから生まれたモノだったのだ。
サウスウッドは、2009年に71歳で死去。
彼が肺がんで亡くなっていたら皮肉だが、ウィキやIMDbには そこまで書いてなかった。

デスシガレットの延長線上で、喫煙率低下・嫌煙度を高めるための凄まじいグロ写真パッケージを使ったタイ タバコは有名だが。
日本では「健康のため吸いすぎには注意しましょう」などの一行表示が1972年からあったものの。
2005年から「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。疫学的な推計によると、喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から4倍高くなります。」と、表示は厳しくなったが。
視覚的なインパクトを伴った嫌煙デザインのタバコは、未だ販売されていない。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

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