<< January 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 勝新版『無法松の一生』 | TOP | Cat walks No.20 >>

『パリは燃えているか』

シネフィルWOWOWで、1944年夏のパリ解放を描く大作戦争映画『パリは燃えているか』の3時間弱の全長版と、2時間強に短縮された日本語吹き替え版を観た。
吹き替え版は水曜ロードショーで1975年の夏に2回に分けて放送した時の音源で、全長版が作られていたと思うが、再放送時に短縮されてしまったのだろうか。
久しぶりに観た感想だが、『史上最大の作戦』(1962)と比肩しうるかといえば、劣るなぁというモノだった。

ルネ・クレマン監督。
レジスタンス役でアラン・ドロンやジャン=ポール・ベルモンドやジャン=ルイ・トランティニャン(仲間を売る悪役)やイヴ・モンタン(戦車兵)やミシェル・ピコリ(禿げ上がってないが、カツラ着用?)などフランス男優総出演。進攻中の米軍側はカーク・ダグラス グレン・フォード ジョージ・チャキリス アンソニー・パーキンスら。
中立国スウェーデンの領事はオーソン・ウェルズ。
守るドイツ軍はゲルト・フレーべ ウォルフガング・プライス(パリ中に爆薬を仕掛ける) ヨアヒム・ハンセン ギュンター・マイスナー ハンネス・メッセマー(冒頭でワンカット出演するだけという贅沢さ)ら。SS役で、またしてもカール・オットー・アルベルティが登場。

初見の時も思ったが、フランスには数多の美人女優がいるのに、本作のメインは個性的な容貌のレスリー・キャロンとマリー・ヴェルシニ、年増のシモーヌ・シニョレだけってなんなんだろ。
名監督クレマンの嗜好(衆道だという噂はあるようだが、96年に82歳で亡くなるまでに2度結婚してる。添い遂げたのは初期007シリーズに参加した女流脚本家で17歳下のジョアンナ・ハーウッド)が出ちゃったかな…パリ解放を喜ぶ群衆の中に、旬のカトリーヌ・ドヌーヴやフランソワーズ・ドルレアックやブリジット・バルドーやジャンヌ・モローやフランソワーズ・アルヌールやカトリーヌ・スパークやミレーユ・ダルクやアヌーク・エーメ、少し上の世代でもミシェル・モルガンやダニエル・ダリュウやミシュリーヌ・プレールをカメオ出演させていたら華やいだろう、残念すぎる。
男優にしても、この時代では最初に御大ジャン・ギャバンを担ぐべきと思う(国民から尊敬されていたが、戦時中はアメリカに脱出していた経緯もあり、出演依頼を固辞したのかも。演劇界の重鎮ジャン=ルイ・バローは『史上最大の作戦』に出てたので、今回は外しても許されるだろうが)。
映画の内容的に、出演拒否する人は少なかったはず。
大作なのに意外と記録フィルムを使ってるのも、減点対象になった。

出番の多い儲け役は、まずドイツ軍・コルティッツ将軍のフレーべだろう。ウェルズと2人、閉所のキッチンで密談するシーンは巨漢同士で迫力あり(吹き替え声優も田中明夫と金田龍之介)。一緒にいる副官役のハリー・マイエンは、この映画が公開された年にロミー・シュナイダーと結婚。75年に離婚、4年後に50代で亡くなった。
シャルル・ボワイエの医師と共に危険を冒し米軍と交渉に向かうピエール・ヴァネックは、前半出まくりの感。
口髭にドゴール帽=ケピ帽の将軍クロード・リッシュ(2017年に亡くなっていた)も印象的だ。
やはりヒゲのジャン=ピエール・カッセルがコルティッツ将軍を捕まえるけど、リッシュもヒゲを短く整え市街戦に向かうので、印象が似て紛らわしい。

ヒトラーの爆破破壊命令を実行せず、結果的にパリを救ったコルティッツ将軍は、死刑になる事なく戦後を生き延び、本作がフランスで公開された翌月、1966年11月に肺気腫で亡くなった。享年71。

1990年代OVAの名作『ジャイアントロボ』の音楽が、本作(モーリス・ジャール)からパク…インスパイアされているのを再認識。
1話でパリが炎上してるから、そうなる気分も分かるけど。

ヒトラー(スイス出身のそっくりさんビリー・フリック、他の映画でも総統を演じてる)の破壊命令が下り銃弾飛び交う緊迫したパリ市街なのに、どこか呑気。レジスタンス伝令娘と知らず車でパンクした自転車を運んでやるドイツ将校(ヨアヒム・ウエスソフ)、犬を散歩させてるフランス紳士や飼育する豚を追い立てるドイツ兵までいるのが面白い。
レジスタンスの奇襲で火傷を負うドイツ兵を演じたクリスチャン・ロードは、2018年に81歳で死去。
陥落寸前の司令部で、帰国し妻と6年ぶりに会えるとフレーべに言う老兵は、ゲオルグ・レーン。だが、最後の戦闘で悲しい結末が。
地下鉄で上官(ヘルムート・シュナイダー)に逆らい、営倉がわりの病院にぶち込まれてたドイツ兵(オットー・スターン)は、防衛戦に駆り出されるも被弾。命からがら塀をよじ登ると、そこは墓地だった…というシーンが印象に残る。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

コメント

コメントする









トラックバック

このページの先頭へ