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『結婚行進曲』

日本映画専門チャンネルで観た、市川崑の東宝第一回作品『結婚行進曲』(1951.12)。 期待してなかったが、面白い都会派コメディだった。
恋人の伊豆肇が会社をクビになり、怒った杉葉子(綾瀬はるか似ですよね)は営業部長のダンディな上原謙の邸宅に乗り込み、夫人の山根寿子に直談判。
その早口トークに惚れ込んだ上原は彼女をスカウト、セールスウーマンに雇って…。

会社は鋳造工業系でドアノブなどを作っているのだが、工事現場へも颯爽と出向き売り込む彼女の映像に、営業成績表の棒グラフアニメがオーバーラップ。
ぶっちぎりの売り上げで成績表の上まで伸びた棒が、クイッとターン。さらに下まで行って再ターンするのには笑った。
『億万長者』(1954.11)でも、核爆弾の恐怖で東京から沼津までダッシュする木村功に爆心地からの安全圏内距離がオーバーラップしたが。
アニメーター出身・市川ならではの視覚ギャグですね。

「当社の製品は頑丈で、ドアノブが すっぽ抜ける事はない」と杉はセールストークするが、営業部長の家に使ってあったのは…。
夫人の山根からの電話で上原が部屋のドアを慌てて開けると、すっぽ抜け 後ろに でんぐり返る!
スタントマンを使っているだろうが、あまりの派手さに爆笑。
なお、その前に杉も椅子に つまづき、見事にコケている。

上原と杉は原節子の出ている映画を観るが、これが何と成瀬巳喜男の名作『めし』。
製作の藤本真澄、シナリオの井手俊郎が本作と共通なので可能だった楽屋落ちだろう。
我々には時系列感覚が無いが、『めし』の公開は本作公開の約1ヶ月前、1951年11月なのだ!
映画ファンには言うまでもなく、上原と杉は こっちにも出演。
上原はスクリーンに映った「主演男優」の名を杉に聞いて、アクビをする。

若い2人と営業部長夫妻(ネットで読めるキネ旬のストーリー紹介で、上原は社長役となっているが、違う。社長は村上冬樹が演じており、出番は少ない)のアレコレに、風変わり・個性的な人物が絡んで、越路吹雪のビギン・ザ・ビギンまで聞ける。
年末公開の正月映画ならではのサービスか。
東宝技術部は、マット合成と相当数の場面転換ワイプ処理でテンポアップに貢献。額縁の山根の写真が動いたりもする。
80分強で終わるのもありがたい。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

『海底大戦争』

東映がアメリカと合作(下請け)した映画、『海底大戦争』(1966.7)。
劇場では観ていないが、小学生の頃にテレビで初見。

世界征服を企み、海底基地を築いているマッドサイエンティスト集団の野望を潰す、新聞記者と米海軍の活躍。

矢島信男による特撮が見どころの、怪奇色もある作品である。
少し前に海外版をネットで観たばかりだが、10月にチャンネルNECOで放送されたのは、83分の国内版(9巻 2304メートルなので、換算するとIMDbの90分表記は間違いだろう)。
シネスコサイズの映画と聞くが、スタンダードサイズだった。トリミング版なのか。
しかも東映マークが出ず、数か所 音声のみの黒味部分があるという、不完全な素材である。
どうやら発売されているDVDもこのバージョンらしく、アマゾンの販売ページに注記があった。
シネスコ版は失われたのかな?
ネットに上がっていた79分の海外版は、ビスタサイズだった。今回比較すると、どうやらスタンダードサイズの天地を さらにトリミングしたものらしい。
国内版は夕陽の海上を行く潜水艦の特撮カットで終わるが、海外版は その後に ちょっとしたオチ?が付いている。
当時ウルトラシリーズでも忙しかった成田亨が、武庫透 名義で手掛けた特撮美術。
人間を改造した寄り目のサイボーグ半魚人はイマイチだが、米軍潜水艦(MJ号のプロトタイプだね)やマッドサイエンティスト・ムーア博士の海底基地は良。
ミサイル発射台なんて、後のスタジオぬえメカみたいである。

在日外人俳優が多数出演しているが、気になるのは…ムーア博士役のエリック・ニールセンや、海軍中佐役フランツ・グルーベルの お肌。ブツブツが目立ち妙に汚いのは何故かね?
東映のメイク担当、匙を投げたのだろうか。
なお、博士の子分で最後に主役の千葉真一と対峙するのは、室田日出男。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(2) * pookmark

『有難や節 あゝ有難や有難や』

観たかった『有難や節 あゝ有難や有難や』(1961.5 日活)を、ようやく録画。
ケーブルテレビに加入しチャンネルNECOが観られるようになってから、初めての放送か?
助演してる守屋浩のヒット曲・有難や節に乗せ展開する、西河克己監督のアクション小品だ。

なんと、地元・愛知県 岡崎や豊川や蒲郡でロケされた、ご当地映画でもあった。


踊りの教本に出てるような人型イラストがテンポ良く題字に変わる、タイトルが まず傑作。
交通事故情報を抜け目なくキャッチ、スクラップ自動車を集め家業の借金返済を計る主役・和田浩治が乗ってる、ナンバーの無い1人乗り小型車はオリジナルなのか?

彼は豊川にいる祖父の和尚(大坂志郎)を訪ねる途中で、建設工事がらみのトラブルに巻き込まれる。

ヒロイン役は いつもの清水まゆみ。和田の父と妹役は、森川信と吉永小百合。他に山内明 内田良平 近藤宏ら。


小林信彦が かつて面白場面として書いており確認したかった、昭和天皇風の浜口庫之助(有難や節の作詞作曲者。2年後の松竹映画『拝啓天皇陛下様』でも、昭和天皇役でノークレジット出演。バラが咲いた 夜霧よ今夜も有難う 愛のさざなみ みんな夢の中 人生いろいろ…などを作ったヒットメーカー、1990年に73歳で没)が登場する場面。
ホーネンス耕運機(豊川に本社がある共栄社の製品)に乗って豊川稲荷に参拝するという、あからさまなタイアップシーンである。
浜口は足を怪我し松葉杖をついているらしく、全快祈願のために参拝したという設定。
ラストの祝祭でも、治った体で再び耕運機に乗り登場している。
田中明夫 演じる悪ボスの子分で、高品格 山口吉弘と一緒にいる かまやつひろし がかけてる巨大メガネにも注目。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

淀川長治 2題

今村昌平が、1976年に淀川長治をインタビューというかプロファイルした、『映画監督競作シリーズ われらの主役』(1976.9〜77.6 東京12チャンネル 全43回)の1本をチャンネルNECOで観た。
淀川が結婚しない事について尋ねる時、「中性的」という言葉を使っていたが、氏が衆道の人というのは当時も映画関係者は知っていたろうから。
今村なりの、ギリギリを狙った表現だったんでしょうな。

ついでに、日本ロケのアメリカ映画『八月十五夜の茶屋』(1956)を久しぶりに観る。
マーロン・ブランドが通訳の日本人(沖縄人)を演じた、占領下の沖縄が舞台の進駐軍コメディ。
大映が協力。
グレン・フォード、エディ・アルバート、根上淳と出演者も一流。
沖縄ロケではなく、奈良県生駒にオープンセットが組まれた。
雑誌「映画の友」時代の淀川が、本作のロケハンに来たダニエル・マン監督にインタビューしたとき、前々作『バラの刺青』のファンだった事もあり意気投合。
ヘンすぎる日本描写も指摘し、役まで与えられ出演したというのを自伝で読んでいたので、昔 ワーナーホームビデオで初レンタルされた時に観てみたことがある。
パッケージにも、確か淀川が出ていると書いてあったが…よく分からんかったような。
今回 観たワイド版で、ハッキリ確認した。
上映時間の1/3が過ぎた頃。
自伝に書いてあった通り、米配給所で炎天下に並んだ清川虹子を筆頭とする村の御婦人たちを差し置き、後から来た美人芸者の京マチ子に「さぁ入って、中で お茶でも」と言って贔屓する配給係の1人を演じていた。
ロングショットで1分ほどの出番だが、セリフもちゃんとある。
ワーナーホームビデオ版はスタンダードにトリミングされていたから、画面左隅にいる事の多い淀川は切れちゃって、分からなかったのか?
リハーサルも含め撮影・拘束期間は結構長く、ギャラは当時の換算レートで計7万円(1ドル360円時代だから、200ドルか。当時、東京のラーメンは一杯40円)だったそうな。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

『日本戦後史 マダムおんぼろの生活』

『にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活』(1970.6 日映新社)を、チャンネルNECOで観る。
今村昌平監督(クレジットは演出)。

大阪万博で日本が浮かれている最中。
映画斜陽期で、刺激の強い作品を作って集客しようとする事情もあったろうが。

なんとメジャーの東宝が配給・公開した、「ブラックな」ドキュメンタリーである。
ポスターには、今村の東宝第一回作品と書かれていた。
氏は、東宝に入り助監督として黒澤明に付きたかったというから、内心 嬉しかったのでは。
なお同時上映は、新藤兼人 監督の『触覚』。

山陰(吉倉と書かれた駅名標や交通安全の看板が出てくるが、この地名は存在しないようで。本作はドキュメンタリーであるが、これらは小道具=フェイクの可能性があり、ひょっとしたら鳥取の倉吉を暗示しているかも知れぬ)で馬喰の娘として生まれ、終戦時は15歳だった女の半生。
これで家が貧乏ならば、お涙頂戴となるところだが、ちょっと違う。
実家は裕福な肉屋→高校中退し結婚→パチンコ屋経営→離婚・上京し横須賀で接客業を、やがてバー ONBORO経営へ。
ステップアップ?しながら、シタタカに豪快に生きるマダムになった女と その親族。

資料では、

赤座たみ…母親

赤座悦子…長女(マダム)

赤座あけみ…悦子の娘

赤座昌子…悦子の娘

赤座千枝子…悦子の娘

と書かれているが。

冒頭の電話シーンで今村は、マダムをアカザエミコと言っている。地名と同じく仮名にしているのだろうか。

代理で出演交渉に応じる、マダムの母親が強烈!


戦後25年間のニュースフィルムを観せつつ、マダムに体験を語らせる今村。
高校をやめるキッカケは被差別部落出身である事を晒された為だったこと、横須賀でアメリカ兵相手の稼業、創価学会入信…。
その一方で、警官(戦後のドサクサ期、肉屋も闇商売のガサ入れ情報が必要だった事もあり結婚したが、結核で入院し退職後は、金遣いが荒くなり女遊び三昧。ナント母親とも関係を持ってしまい、別れる事に)や早大生(夫の遊びに対抗し積極的に攻めて交際へ)とデキちゃう やり手でもある このマダムの告白には驚かされる。
凄く肉感的だが、美人じゃない。
別れた警官との間には娘が2人、店を手伝っている。
このマダム、私は決して関わりたくないタイプだが、映画を観ている分には面白すぎる。
今村監督が取り上げるわけだ。

彼女の出自を表すため、冒頭から屠殺場のシーン。これにベトナム戦争の死体写真がモンタージュされるので、モノクロ撮影とはいえドン引きする方もおられるか。
演出助手としてクレジットされた長谷川和彦は、屠殺場の撮影に参加していたという。

テストテスト(笑)のアメリカ人男性遍歴の末、合格と判定したオレゴン出身の若い水兵と再婚し幼い娘(これが千枝子か)も生まれた。
店をたたんで、夫・娘とアメリカのサンディエゴへ行き新商売を模索するという彼女、その後の人生も垣間見たかった気もするが…余計なコトか。おそらく本作の出演料は、その費用に充てられたんだろうな。

出演者である赤座ファミリー(この苗字だけは、仮名じゃないようだ)が故人となったので、ようやくCS放送解禁?
マダムの生き様は、本で読んだ、家族乗っ取りを始める以前の、尼崎事件主犯・角田美代子の半生にダブって見えた。
マダムに「メンスは何時でした?」と聞く今村、オールナイトニッポンの鶴光みたい。

キネ旬のストーリー紹介は、本作の複雑さを伝えていないが。
若干補足し、引用する。

横須賀の丘の上に、一軒の立派な家がある。
この家の主人は、60を越えた元気な婆さん・たみ である。
今日はアメリカへ遊びに行っていた長女・悦子がおみやげを買いこんで帰ってきた。
悦子は、堂々と肥ったバーのマダムである。
お人好しの次女も嬉しそうに話を聞いている。アメリカには、三女が米軍のパイロットと結婚して住んでいて、今度子供が生まれたのを機会に悦子が代表格で行ってきたというわけである。
悦子の娘たち、即ち婆さんの孫たちも、バスト1メートルをこえようというグラマーぞろい。
女ばかり三代のバイタリティにあふれた一家である。
悦子は、戦後まもなく山陰の田舎を飛び出して、女であるという条件を武器に奮戦してきた。
原爆、ヤミ市、戦争孤児、パンパン狩り、彼女たちの特需景気もたらした朝鮮戦争。本当にあの頃は忙しかった。
黒いジョーも死んだし、白いジョーも死んだ。そして沢山生まれた混血の孤児たち。エリザベス・サンダースホームの昔のフィルムを無心に眺める、混血の孫娘。
彼女たちがひとつの生きた戦後史ならば、ニュースも単なる過去の再現でなく、生きた姿として登場してくる。
この一家の長女・悦子に戦後25年間の記録フィルムを見せ、それに触発されて あけすけに語られる感想や一家の生々しい記録。
そこに戦後日本の歩みと、この一家の歩みがときに交錯し、ときに離れ、二つの流れとなって生きはじめる。そしてカメラはさらにこの一家の現実の生活にも鋭く斬り込んでくる。父権も夫権もないこの女三代。増殖するたくましい女たち。
今もその生き方を変えようとしない女たち、彼女たちの戦後には日付はなかった。

どうでもいい話だが。

今村は、日本人スタッフも協力した香港製の特撮映画『中国超人 インフラマン』(1975)の企画をしてたんだね!

本作の資料をネットで調べるとき、知った。クレジットに名は出ていないようだが…。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(2) * pookmark

『アギーレ・神の怒り』の衝撃

イマジカBSで、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の傑作『アギーレ・神の怒り』(1972 西独)を久しぶりに観て、やはり打ちのめされる。
本当に凄い映画なり。


16世紀中盤の1560年末から翌年初頭、日本では桶狭間の戦いがあった半年後。
黄金郷エルドラドを探し、南米アンデスの秘境へ向かう、ペルー・インカ帝国を征服したスペイン人フランシスコ・ピサロ(1541年に暗殺されている)のいとこで、ゴンサロ・ピサロが率いる探検隊(これは史実に基づくが、時代設定を変えているようで、この人物は探検に失敗後、1548年に内紛で処刑されている)。
険しい崖の道を下ってくる彼らが、アリのように見えるロングショットのインパクト!初見のときには驚愕した。
部下のウルスアが隊長となった分遣隊は、濁流の おさまるのを待ち川を筏で行く(黄金郷は山中にあるはずなんだが、分遣隊は何故か川を下っている。その理由はラストに判明)が、大自然と熱病と原住民の怒り(キリスト教を冒涜したと、人の良さそうなカヌーの原住民夫婦を牧師が瞬殺するんだからね)によって、ついに全滅するのだった。 


クラウス・キンスキー演じる副隊長アギーレは、見かけ通りの腹に一物ある冷酷な男だが、溺愛しているらしい15歳の美しい娘・フローレスを連れている。
演じているのは、セシリア・リヴェーラというティーン?女優。
クラウスの次女で、早くから美少女として知られた女優ナスターシャ・キンスキー(1961年生、ロリ趣味で知られるロマン・ポランスキー監督と交際して名を上げたのは有名。その結果、彼女主演の名作『テス』が生まれた)を彷彿とさせる美貌だが、似た娘をキャスティングしたんだろうか?
IMDbによるとセシリアは、1999年にスペインのテレビシリーズに1話だけ出ているようだが、他に出演作は無いようだ。
なお、クラウスの長女で やはり女優のポーラ・キンスキー(1952年生 当然ナスターシャ似だが、美しさでは負けてる印象)は父から、5歳の頃より19歳で家を出るまで性的虐待を受けていた事を2013年に自伝で告白。
19歳ってことは、この映画が撮影された頃まで、そういう事を されていたのか?
ナスターシャは されていなかったようだが、やはり父への危機感はあったということだ(そうは言うが…2人が父と仲よさげに写ってる写真が残されているけどね。父と娘には複雑な感情があったのでしょう)。


こういう実話を知った後に映画を観直すと、アギーレと娘が一緒にいる いくつかの場面が、演じるクラウス・キンスキーの「リアル」を投影したものと感じられる。
本作のメイキングも含む、ヘルツォークとクラウスの狂気をはらんだコラボ作品群の記録『キンスキー、我が最愛の敵』(1999 ドイツ イギリス 合作)も私は観ているが、当時はソコまで思い至らなかったなぁ。
アギーレはラストのモノローグによると、川を下って海に出てから、母国スペインに反旗をひるがえして領土を奪おうとしていたのだ。
さらに、「娘と結婚して純血の帝国を築き」王になろうと思っていたんだから!

※ 日本題名は『アギーレ・神の怒り』だったはずだが、今回の放送では『アギーレ/神の怒り』と表記されていた。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

ミヒャエル・フレガール監督が、ちょっと気になって

『時よとまれ、君は美しい ミュンヘンの17日』(1973 アメリカ 西独 合作)という、ミュンヘン五輪記録映画を日本映画専門チャンネルの市川崑特集で観た。
8人の著名監督が参加。
ユーリー・オーゼロフ(ソビエト時代の超大作“退屈”戦争映画『ヨーロッパの解放』で有名) マイ・ゼッタリング(スウェーデンの国際女優、監督) アーサー・ペン 市川崑 ミロシュ・フォアマン クロード・ルルーシュ ジョン・シュレシンジャーが、色々な種目を撮影しているが。

女子選手の美をスケッチした、ドイツ(当時は西独)のミヒャエル・フレガール(公開当時の日本表記はミヒャエル・フレーガー)監督の仕事が良かった。

ドキュメンタリー映画の人かと思ったら。テレビ畑の人で、ドイツの高名なテレビ演出家という紹介が妥当か。

ただ、数本の劇場用映画も手掛けており、『Die Tote von Beverly Hills ビバリーヒルズの死者』(1964 西独 日本未公開)という、今も現役女優のヘイデリンデ・ウェイスとホルスト・フランクが出ている2本目の作品がカンヌで高評価。

ミハエル・プレガーという日本表記で、ヘルムート・ランゲ トニー・ケンドール バルバラ・ラス(ポランスキーの奥さんだったポーランド女優)主演のスパイアクション『レーザーライフル』(1965 伊・西独 合作)。

マイケル・プフグハーという日本表記で、ラクエル・ウェルチが主演のエピソードを監督した、6話から成る艶笑オムニバス『愛すべき女・女たち』(1966 仏・伊・西独 合作)。

…これらの表記だと、日本公開された3作品は別人が監督したモノとしか思えないですね。

1991年に、仕事の悩みからか、58歳で拳銃自殺。

1960年代は才気煥発、ドイツのリチャード・レスター的な立ち位置?スラップスティックと女性を扱った作品に定評があったか。

本人もモテ男らしく、3度目の結婚前には、フランク・シナトラの娘ティナと同棲していた(1967年、アメリカのテレビ用にシナトラの音楽番組を作った関係で知り合ったと思われる)。もし上手くいっていたら、フレガール監督の未来は変わっていたんだろうな。

アントネラ・ルアルディやシーラ・ガベル、オーストリア出身でアメリカでも活躍したジョスリン・レーン、のちポルノ系映画に出てたと思うヘルガ・アンダース、タイロン・パワー未亡人でメキシコ美女のリンダ・クリスチャン、カメオでミレーヌ・ドモンジョなど綺麗どころを集めた『Bel Ami 2000 oder Wie verführt man einen Playboy? ベラミ2000』(1966 オーストリア・伊 合作 日本未公開)というコメディも撮っている。

誤ってコンピューターでプレイボーイNo.1に選ばれた男(ペーター・アレクサンダー)を巡る、このポップな作品は、欧米でカルトムービーとして有名らしい。
モンティパイソンみたいなコラージュアニメのオープニングに続き、ヤスイカズミ ヒゴテルコという日本人名が一枚看板で出るけど。
安井かずみ だとしたら、アノ作詞家(わたしの城下町 赤い風船 激しい恋 危険なふたり etc. 不思議なピーチパイなど、再婚相手の加藤和彦と共作した名曲も多い)の?
ヒゴはヒガの間違いで、比嘉照子ならば、松竹の脇役女優の?
安井はレコード大賞で作詞賞受賞後、1966年以降はヨーロッパで長期外遊(すぐ別れたが、翌年には最初の結婚もした)、可能性はあるな。

…で、中盤を観てみたら。ナント2人は、東京でロケされたシークエンスに出演。
ウルトラシリーズに我々が熱狂していた頃、フランスの『OSS117 東京の切り札』(1966 日本ではテレビ公開のみ)イギリスの『007は二度死ぬ』(1967)と前後し、日本に こんな映画のロケ隊も来ていたか。
2人は、羽田空港の出迎えシーンからキモノ姿で登場している。いかなる出演経緯だったか、興味深い。タバコ吸ってるのが、安井かずみ だろうか(彼女は1994年に55歳で、肺がんのため亡くなっている)。

風呂で日本女性に背中を流してもらったり、庭園の池へ入ったり、柔道したり、東京湾から隅田川?へ イエローサブマリンみたいな潜水艦を暴走させたりと、日本の映画スタッフも協力しているはず。

なおフレガール監督は、ロケハン時か撮影時かは不明だが来日したときテレビ用に、宝塚で眞帆志ぶき 那智わたる らの舞台を記録したドキュメンタリーを撮影していった(西独で1966年2月放送、日本で放送されたかは不明)ようだ。こっちも日本人には興味深いね。

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『ゴーストバスターズ』再起動

リメイクではなく、エヴァンゲリオンじゃないが “再起動” らしい。
『ゴーストバスターズ』シリーズの通算3作目、1989年公開の2作目から27年ぶりの新作公開。
タイトルは再び『ゴーストバスターズ』である。

時代ですなぁ。バスターズとなる4人は全員、30代から40代の元気な女性。
演じる女優陣、私には全く馴染みがないが、ちょっと面長でリリー・トムリンを思い出したクリステン・ウィグなど、米TV『サタデーナイトライヴ』出身者中心のコメディエンヌ4人が主役(ぽっちゃり系のメリッサ・マッカーシーだけ違う)。
旧シリーズの主演者(ビル・マーレイとダン・エイクロイド)も同番組からスターになった人たちだから、今回はソコまでも踏襲しているんだね。
おばちゃんキャストだけじゃ何なので、今回は秘書役として『マイティ・ソー』のイケメン、クリス・ヘムズワースがレンズなし伊達眼鏡をかけ おとぼけキャラで、旧シリーズの秘書役 アニー・ポッツの代わりを勤めている。ゴーストに取り憑かれ、飛翔するシーンも。

懐かしのMTV感覚っていうんですかね?ちょっと気恥ずかしい演出(メタルコンサートでのゴースト退治場面とか)もあるが。
クライマックスのVFX場面は上出来。旧シリーズの特撮を担当したリチャード・エドランドやILMは今回参加していないようだが、あの光線も昔のままバリバリで、ちょっと嬉しくなる。
マシュマロマンやスライマーまで、再登場するし。
新巨大ゴーストは、「有名なマーク」が実体化したものだった。
『悪魔くん』の首人形に戦慄した世代の私は、歩くマネキンの場面を もっと観たかったね。

先述したビルやダン、シガーニー・ウィーバーら旧シリーズの出演者が、ここ10年ほど芸能界から身を引いた格好のリック・モラニスと、亡くなったハロルド・ライミス以外は揃ってカメオ出演。
特にビルはゴースト否定論者の博士役で扱いが大きく、新バスターズと対面した時、酷い目に遭ってます。
前2作の監督アイヴァン・ライトマンとダンは制作側に関与しており、同窓会感覚で、幸せな再起動作品と言うべきか。

私の評価は「フツー」ってなものだが、安定感は間違いなくあり、旧シリーズでバスターズの本部だった懐かしい消防署がラストに登場。続編も作られるだろう。
願わくば次作では、ゴースト役でもいいから、若手美人女優のキャスティングを是非。
監督はポール・フェイグ。

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『シン・ゴジラ』の夏

庵野監督が作るゴジラだけに、『ヱヴァ破』(2009.6)っぽい「意外すぎる展開」があるとは思っていたが。
東京湾から大田区の呑川に、小型船舶や自動車をガシャガシャ押しながら遡上してくる、ムックみたいな動眼のステゴザウルス系巨大不明生物が「ゴジラの幼体」とはね〜。

『パシフィック・リム』(2013)で、倒した怪獣の腹から出てきた幼獣の動きを彷彿とさせるが、インパクトあり。
海に投棄された核廃棄物を食い変異、進化してゆく完全生物。
『シン・ゴジラ』、期待に違わず面白かった。

ゲロみたいに吐いたあと発火、やがて巨神兵のビームみたいになるゴジラの放射能火炎表現(下アゴがパックリと…)。
背びれから無数のビームを放つのにも驚いたが、サソリのように振り上げた尻尾の先からも まさかの…。

エヴァでおなじみ、ブラスが効いた鷺巣詩郎のヤシマ作戦BGMも随所で。
クライマックスとなる、日本の存亡をかけたヤシオリ作戦(ヤマタノオロチを酔わせたヤシオリの酒から採ったのだろう)では、伊福部昭の宇宙大戦争マーチが高らかに鳴り響く。
ゴジラの鋭いビームを、ナタール円盤のビームに見立てたからと思われる。
鉄道や はたらくくるま好きな児童も興奮?する作戦でした。

米軍の東京核攻撃を回避すべく、「逃げちゃダメだ」と頑張った日本人。凝固剤を口から流し込まれ遂に活動停止、ゴジラはモニュメントのように東京駅近くで佇む。
これから永遠に続く共存状況、「東京に原発を」的なアイロニーでしょうか。
ラスト。そそり立つ尻尾の先をカメラが映すと、ギーガーのエイリアンを思わす人骨状の何かがビッシリ…殺された都民の遺体が張り付いてるのか、それとも?
ここで終わり!
大半の戦闘シーンを昼間に設定、雨や暗闇に逃げなかった特撮スタッフは偉かった。
なおリアリティは追求されているが、東京丸の内にゴジラがいるのに、皇室の避難問題には一切触れられていない。

長谷川博己は獅子奮迅の主演ぶり。石原さとみはミサトとアスカを合わせたような役どころ、イーオンCM仕込みの英語も。
大勢の官僚が登場するが、中村育二や浜田晃など「え、ホンモノの政治家?」と見紛う役者多数。実際に政治家やってた横光克彦も出ている。
小川真由美の名がクレジットにあるけど、女ねずみ小僧の女優?復帰したのかな。
実相寺監督の奥様・原知佐子にも気付かず。
モーションキャプチャーのゴジラ役者が野村萬斎だったってのも、意表を突きすぎ。あの摺り足は「能」?そうか、そういうことか。

2日前。

シン・ゴジラの巨大フィギュアを載せた宣伝トレーラーが、移動中の休憩なのか近所のコンビニ前に停まっていて、激写してきたよ。

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台湾の特撮映画『封神榜』

山内鉄也・林重光監督の台湾映画『封神榜』(1969 日本未公開)を観る。
中国アニメの秀作『ナーザの大暴れ』(1979)で見知った、ナーザ物の史劇。
まさか、『怪竜大決戦』(1966.12 東映)や TV『仮面の忍者 赤影』(1967〜68)の監督が台湾に招かれ、これ以前に実写特撮で撮っていたとは。
同じ山内監督の香港特撮映画『梅山收七怪』(1973 日本未公開、收 は 収 と同じ字)もナーザ物だったが、「封神榜の香港版を」と、ショウブラザーズが山内を招いて作ったのだろう。

三上陸男 八木政雄 村瀬継蔵 鈴木昶(とおる)ほか、韓国映画『大怪獣ヨンガリ』(1967.8 日本未公開)に参加したエキスプロ スタッフが今回も協力。
音楽は、『怪竜…』も手掛け『仁義なき戦い』シリーズで有名な津島利章だ。

魔物や妖怪が人間と共存する、封神演義の世界。
赤い妖星の飛来とともに生まれた国王の子ナーザ。
山中で仙人に師事、術を会得したが。
良かれと思い したこととはいえ、数々の「大暴れ」が過ぎた責任を感じ、自害。
国王が、死んだナーザに似せた像を祀った廟は、妖女によって焼かれる。
仙人により復活した後のナーザは子役が変わるが、ティーン少女スターが演じているのか?ちょっとカワイイ。
ナーザが履いて飛ぶ車輪(風火二輪という)は、火のついたまま回転するギミックが組み込まれていた。操演で参加したと思われる、鈴木が製作したのかも。

秀逸な合成(奥行きある飛翔シーン、竜王の海産物怪人軍団が海を割って歩いてくる『十戒』風カット、妖女の分身など)やワイヤーワークが随所に見られ、妖女率いるアマゾネス軍団が住むドクロ山がマットアートと思いきや、岩山の上に建てられたセットだったりと、衣装やモブシーンも含め見どころ多し。
ナーザが竜(変身巨大化前は、美女と貝のベッドでいちゃついてるプリンス)に跨りながら倒し、旱魃に苦しむ町に雨を降らせるシーンは大きな見せ場。『梅山收七怪』にもあったが、アニメ『まんが日本昔ばなし』オープニングの元ネタかな。

台湾製特撮映画の逸品で、一見の価値あり。

J・KOYAMA * ターンノーン通信 2015〜 * comments(0) * pookmark

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